外来がん治療認定薬剤師 のお仕事
外来がん治療認定薬剤師に興味を持ったきっかけは?
卒後、初めは病院に就職しました。
病院薬剤師として、抗がん剤の混注やレジメンの作成、がん患者さんなどの指導をする機会が多く、がん化学療法は深く幅広い知識が必要と感じ、日々新しい薬剤や治療方針と接するうちに、多くを学ぶことができました。
一方で、がん患者さんの心のケアなど、薬剤師が患者さんに寄り添う必要性も感じました。
いろいろな分野で認定制度や専門薬剤師制度が立ち上がる中、あるとき、外来でのがん治療認定薬剤師制度があることを知り、自分が外来で働く上で必要な知識を得られる制度だと思い、目指すようになりました。
「自分が目標を持って努力することで、患者さんの役にも立てる」という気持ちで、頑張ることができたと思っています。
「外来がん治療認定薬剤師」として、病院から薬局に勤務するようになり、どう変わりましたか?
資格取得後、薬局で勤務することになりましたが、患者さんとの関わりは、病院薬剤師のときとは随分と変わりました。
現在、通院で点滴治療を行う患者さんだけでなく、内服抗がん薬で治療する患者さんも多くなっています。病院勤務では内服抗がん薬治療の患者さんの経過を長い期間追うことができませんでしたが、薬局薬剤師になってからはそれが可能になりました。
薬局には、あまり診察室で内服抗がん薬の説明を受けていない、もしくは先生のお話を十分に理解できていない患者さんも多く来局するため、薬局薬剤師の説明が非常に大事になっていることを日々感じています。
さらに、薬局で唐突にがん薬のお話をすることや、患者さんの気持を理解することなど、薬局ならではの難しさも感じています。
現在は、お薬カウンターで服薬指導をしていますが、十分なスペースがあるとは言えません。私が勤務している店舗だけではなく、まだまだ日本全国の薬局では服薬指導の環境が十分とは言えないと思いますので、環境が整うことを願っています。
薬局薬剤師ならではの難しさをどのように克服したのですか?
電子カルテを見ることができない薬局では、病名をはじめ患者さんに聞かないとわからない部分が多いです。そこをどう患者さんから引き出すか? 患者さんの血液検査結果をどのようにお伝えして見せていただくか? 最初のうちは非常に難しいと感じていました。
「ただ薬を渡すだけの薬剤師では、患者さんは話してくれない」と気がつきました。テクニックを身につけた訳ではないですが、自分も心を開くといった気持ちで接し、必死さや真剣さが伝わると患者さんも話してくれるのかな? と思います。言葉で表すことは難しいですが…。
そういう面でも、認定薬剤師資格を持っていることが、自信につながっていると思います。「なんでも聞いてください。わからなければ調べてお答えするので、とりあえず話してください」とよく言っている気がします。
認定薬剤師資格を持って、どのような薬剤師になっていきたいですか?
現在、患者さんが内服を開始した1週間後に、「体調いかがですか?」と確認の電話をするようにしていますが、患者さん全員にフォローができておらず、病院に情報をフォードバックすることも行えていません。今後は、グループ内・地域薬局・病院薬剤部との連携ができればいいと思っています。
薬局内では、抗がん薬のことはみんなが聞いてきてくれ、頼りにされていると感じます。自分が持っている専門的な知識を患者さんのために使うことはもちろんですが、薬局の人たちにも広げられるようにしたいと思っています。
外来がん治療認定薬剤師を目指す方たちへ
若い頃は、がむしゃらに目の前のことを勉強し、まずは患者さんに迷惑をかけないことを目標にしていましたが、経験を積んでいろいろなことに興味を持つことができ、何かを目指すようになりました。認定薬剤師を取得した今、薬局での仕事が充実しています。
JASPOの認定薬剤師のなかで、薬局薬剤師の割合はまだ少ないと思います。薬局薬剤師が、このような資格を取得することで自信につながり、より良い患者さん対応ができるということを、周りの薬局薬剤師に伝えられたらと思っています。
薬局に勤務していると、このような専門的資格は取得しづらいと思いますが、外来がん治療認定薬剤師の資格と知識は、薬局で働く薬剤師にとってこの先さらに必要になると思います。
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同僚の薬剤師からひとこと
専門の知識を持つ彼女が店舗にきてから、学術的な知識もあるため多方面からアプローチする姿勢が非常に勉強になります。
彼女はがん患者さんに対する薬学的介入だけでなく、今後の治療方針などもケアできるので、患者さんだけでなく周りのスタッフも大変勉強になっています。
なにごとにも熱意があるので、店舗内でも皆から非常に心強く思われていると思います。 (管理薬剤師の目黒さん)
2020.10