高額療養費制度の負担上限額引き上げに関する声明

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令和7年2月27日

一般社団法人 日本臨床腫瘍薬学会

理事長 近藤 直樹

高額療養費制度の負担上限額引き上げに関する声明

日本臨床腫瘍薬学会は、がん薬物治療に携わる学術団体として、国民の死因の多くを占めるがんについて薬物療法に関する学術研究を進歩させ、科学的根拠に基づくがん薬物療法の開発および普及を推進することにより、抗がん薬による最善の治療効果の実現、副作用の軽減およびその重篤な健康被害の未然防止を図り、がん医療の発展および公衆衛生の向上に寄与することを目的として活動しています。

現在検討されている高額療養費制度の負担上限額の引き上げについて、保険医療費を支えるための保険料負担や税負担の増大は喫緊の課題であることは理解しております。しかしながら、患者負担の過度な増大は、がん患者が必要な医療を受ける機会を制限し、治療の継続性を損なう恐れがあり、医療保険制度の本来の目的に沿わないものともなり得ますので、十分に時間をかけ慎重かつ丁寧に国会審議を行うことが必要と考えております。我々は患者やその家族の方々が、安心してがん薬物治療ができる環境を確保することを切に希望します。

日本臨床腫瘍薬学会は、社会や行政と連携しながら、病院、薬局、大学、製薬企業に所属する薬剤師やがん関連領域に関わるすべての人々が連携協力し合い、今後も最善の治療効果の実現、副作用の軽減、重篤な健康被害の未然防止を図り、公平な医療アクセスの実現に向けて努力してまいります。