50代:病院
資格更新のその先に
中小規模病院で新卒から勤続している私は、40代後半から学会主催のセミナーを受講し始めた。一念発起し資格取得を目指したが、甘くはなかった。4年がかり、コロナ禍を挟んで3回目の挑戦、50代でやっと「外来がん治療専門薬剤師(BPACC)」資格を取得することができた。早いもので3年が経過し、このたび無事資格更新した。
資格取得直後、意気揚々と大病院へ見学に赴き、今後の活動について教えを乞うた。しかし返ってきたのは、意外にも慎重な助言だった。「一人でできることには限りがある。まずはマニュアル整備や同意書整備など地道な業務から始め、医師の信頼を得ることが大切である」。拍子抜けした気持ちもあった。資格を取れば何か新しいことがすぐに始められる、そんな期待がどこかにあったからだ。
自己研鑽として始めたがん領域の学習であり、職場での認知度も高いとは言えなかった。それでもレジメン管理や化学療法委員会の業務に関わる中で、少しずつ役割は広がっていった。3年目となる昨年度、ようやく外来患者への服薬指導を始めることができた。患者の何気ない訴えから副作用を疑い、必要な支持療法を考え、医師へ処方提案する。その一つひとつが、小さくも確かな前進であった。
しかし、50代後半となった今、常に頭をよぎるのは後進育成のことである。同じ資格取得を目指す人材は見当たらない。ハードルの高さを考えれば無理もないのかもしれない。
先日、学術大会のシンポジウムを聴講した。保険薬局薬剤師の認定取得後の挑戦に刺激を受けた。後進育成についても「無理に資格取得を勧めない」「認定未満の人材を増やす」という考え方が心に響いた。病院と保険薬局、働く場所は違えど、同じ薬剤師として心はひとつだと思いを新たにした。
資格更新のその先には、これまでと同じく地道な道のりが続いていくだろう。着実な歩みを重ねながら、自分にできることは何か、と問い続けていきたい。
〔2026.5.1〕
